給・排水設備更新工事の基本ポイント
1.給・排水設備更新工事とは
マンションやビルの給・排水設備更新工事とは、現在の以下のような給・排水設備を新しい設備に取り替える工事です。
■給水設備(建物に水を供給するための設備)
・給水管
・給水ポンプ
・給水タンク
・給湯設備
■排水設備(建物から水を排出する設備)
・排水管
・排水ポンプ
<給・排水設備更新工事を行うメリット>
新しい設備に取り替えることで、新築当時と同じ状態に生まれ変わります。例えば新しい配管に交換する更新工事を行うことで、以下に記載するような赤い水や青い水が出るトラブルを解消し、衛生面での安全性を保つことができます。加えて破損するリスクを回避し、漏水などのトラブルを防ぐことも可能です。もちろん、耐久年数も長くなりますし、マンションやビルの資産価値維持にも寄与することでしょう。
2.給・排水管更新工事のタイミング
給・排水管更新工事を実施するタイミングとしては、以下が目安となります。
■目安①:水の色が通常と違うとき
蛇口をひねって流れ出た水の色がいつもと違うときなどは、給排水設備工事を検討する必要があります。
・赤っぽい色であれば…給水管の内部が酸化・腐食していることが主な原因です。
・青っぽい色であれば…青っぽい色の水が出る場合、水道水に含まれる塩素によって銅が溶け出しているかもしれません。
■目安②:排水が流れないとき
排水管が破損している可能性があります。さらに、異音がしたり屋外の排水ますから水が溢れ出ていたりする場合は、特に注意が必要です。
3.給・排水設備の更新工事時期
実際にそれと分かる不具合が出ていなくても、築年数から起こってくる給・排水管のトラブルを想定し、更新工事時期の目安にすることもできます。
<築年数と必要な更新給水設備工事>
築年数5年:給水装置の検査・修理
築年数15年:水道メーターの更新工事
築年数20年:共用部分の配管の更新工事
築年数30年:専有部分の配管の更新工事
<築年数と必要な更新排水設備工事>
築年数5年:排水管の洗浄、排水ポンプの交換
築年数20年:共用部分の配管の更新工事
築年数30年:専有部分の配管の更新工事/埋設配管の更新工事
全てのビルやマンションは、必ず時と共に劣化していきます。「まだ大丈夫だろう」と些細な違和感でも放置し続けていくと、取返しの付かない事態となってしまう可能性もあります。車の運転と同じく「だろう」ではなく「かもしれない」という意識を持って、先手先手のメンテナンスに取り組んでいただければと思います。
<参考>給・排水管の「更新工事」と「更生工事」
給・排水管の改修工事は大きく分けて「更新工事」と「更生工事」の2つの種類があります。このうちどちらを選択するかは、配管の使用年数や劣化状態、予算、施工期間などによって異なります。
◆更新工事:既存配管を撤去し、新しい配管に取り替える。
➡耐用年数:30年以上だが更生工事よりもコストがかかり、工事日数が長い
◆更生工事:既存配管の内面の汚れや錆を取り除き、劣化部分を修復する。
➡耐用年数:10年程度だが比較的費用が安く、工期も短い