入居者の退去時に確認したい水回り設備のチェック項目
入居者の退去時は、室内の汚れや傷だけでなく、キッチン、浴室、洗面所、トイレなどの水回り設備を細かく確認することが大切です。小さな漏水や排水不良を見逃すと、次の入居者が生活を始めてからトラブルが発生し、修理費用や対応の負担が大きくなることがあります。空室期間を利用して必要な点検と整備を行い、次の入居者が安心して入居できる状態にしておきましょう。

1.キッチンの確認
キッチンでは、蛇口から水やお湯を出し、水量や温度、レバーの動きを確認します。蛇口を閉めた後も水が落ち続ける場合は、パッキンや内部部品が劣化している可能性があります。シンク下の収納を開け、給水管や給湯管、排水ホースの接続部分に水滴、染み、腐食、カビがないかも確認しましょう。
排水口には実際に水を流し、水の流れる速さや「ゴボゴボ」という音、悪臭の有無を調べます。油汚れや食材かすが排水管内に蓄積していると、入居後に詰まりが起こることがあります。排水ホースの緩みや変形、防臭ゴムのずれも臭気の原因になるため注意が必要です。
2.浴室の確認
浴室では、シャワーとカランの切り替え、水圧、温度調節が正常にできるかを確認します。シャワーホースや接続部分からの漏水、シャワーヘッドの目詰まりも点検項目です。サーモスタット式水栓では、設定した温度と実際のお湯の温度に大きな差がないかを確かめます。
浴槽には少量の水をためた後に排水し、水の流れを確認します。排水に時間がかかる場合は、髪の毛や石けんかすが残っている可能性があります。また、浴槽のひび割れ、排水栓の劣化、床や壁の目地、コーキングの剥がれも見逃せません。換気扇の作動状況や異音、湿気によるカビの発生も併せて確認しましょう。
3.洗面所の確認
洗面台では、水栓の動作や排水状態に加え、洗面ボウルのひび、欠け、変色を確認します。特に注意したいのが洗面台下の収納部分です。排水管の接続部から少量ずつ水が漏れていると、収納板の膨れや変色、腐食につながります。目視だけでなく、水を流しながら接続部を乾いた布や紙で触れると、わずかな漏れも発見しやすくなります。
洗濯機置き場では、給水栓の開閉、蛇口周辺からの漏れ、防水パンの割れや汚れ、排水口の詰まりを確認します。洗濯機を撤去した後は、排水トラップやエルボ部品が外されたままになっていないかも確認が必要です。
4.トイレの確認
トイレでは、実際に水を流し、便器への給水と排水が正常に行われるかを確認します。水を流した後もタンク内の音が続く場合は、内部部品の不具合により水が流れ続けている可能性があります。便器と床の接合部、タンクの下、給水管の接続部に水滴や染みがないかも点検しましょう。
便座のひび割れやぐらつき、温水洗浄便座の作動状態、電源コードやリモコンも確認します。便器の詰まりや排水不良は、少量の水を流しただけでは分からないこともあるため、複数回作動させると安心です。床材の変色や柔らかくなっている部分は、過去の漏水を示している場合があります。
5.給湯設備と配管の確認
各水栓でお湯を出し、給湯器が正常に点火するか、設定温度のお湯が安定して供給されるかを確認します。給湯器のリモコンにエラー表示が出ていないか、屋外機器に異音や水漏れ、著しいさびがないかも重要です。長期間使用している設備については、故障してから交換するのではなく、使用年数や修理履歴を踏まえて計画的な更新を検討しましょう。
6.記録を残して適切に対応する
点検時には、設備の状態を写真や動画で記録し、不具合の場所、確認日、修理内容を一覧にしておくと、その後の管理に役立ちます。汚れや破損が見つかった場合は、通常使用による損耗なのか、入居者の故意・過失によるものなのかを、契約内容や入居時の記録などと照らし合わせながら慎重に判断することが重要です。退去時の水回り点検は、原状回復費用を確認するためだけのものではありません。漏水、詰まり、悪臭、設備故障などを次の入居前に防ぎ、建物の劣化や階下への被害を抑えるための大切な機会です。目視だけで済ませず、実際に水とお湯を流して動作を確認することが、安心できる賃貸住宅の維持につながります。

