入居者向け「トイレ・キッチンの正しい使い方」啓発で防ぐ排水トラブル
アパートの排水トラブルは、「設備の老朽化」だけが原因と思われがちですが、実際には入居者の使い方が大きく影響します。とくにトイレとキッチンは、毎日使うからこそ、ちょっとした誤った習慣が、詰まりや逆流、悪臭、階下への漏水事故につながることがあります。管理会社としては、トラブルが起きてから対応するのではなく、「正しい使い方」をわかりやすく伝え、予防していく姿勢が重要です。

1.トイレは「流せるもの」と「流してはいけないもの」を明確に
トイレの詰まり原因の多くは、「本来流してはいけないもの」を流してしまうことです。代表的なNG例は、次のようなものです。
・ペット用トイレ砂・猫砂
・おむつ・生理用品・ペーパータオル
・食べ残し・嘔吐物をまとめたビニール袋
・大量のトイレットペーパーを一度に流す行為
入居者向けのしおりや掲示物では、「トイレに流してよいのは、トイレットペーパーと排泄物だけ」と、はっきり書き添えることが大切です。イラスト入りで「OK/NG」を示すと、外国人入居者や子どもにも伝わりやすくなります。
2.キッチンは「油と生ごみ」をどう扱うかがポイント
キッチン排水のトラブルは、油と生ごみの流し方に左右されます。排水口の奥で固まった油や詰まった生ごみは、時間をかけて排水管を細くし、悪臭や逆流、最終的には高額な高圧洗浄が必要になることもあります。
入居者には、次のような行動を推奨すると効果的です。
・揚げ物の油は新聞紙などに吸わせて可燃ごみへ
・フライパンや皿の油汚れは、洗う前にキッチンペーパーでぬぐってから
・排水口に必ずゴミ受けカゴ+ネットを設置し、生ごみはこまめに廃棄
・コーヒーかす・茶葉・麺類なども流さずごみ箱へ
「液体だから大丈夫」という感覚を、「油は冷えると固まる」「麺類は膨らんで詰まりやすい」といった具体的なイメージに置き換えて伝えることで、行動が変わりやすくなります。
3.日常のひと手間が “将来の大トラブル” を防ぐ
トイレとキッチンの排水トラブルは、ある日突然起きたように見えて、実は少しずつ蓄積した結果であることがほとんどです。そこで、入居者向けに「月に1回でいいので、次のようなひと手間をお願いします」と具体的に提案するとよいでしょう。
・排水口カゴやトラップを外して、中のヌメリを掃除する
・市販のパイプクリーナーを用法容量を守って定期使用する
・トイレで詰まりそうな感覚があったら、放置せず早めに管理会社へ相談する
このような簡単なセルフメンテナンスを促すことで、重大な詰まりや漏水事故を未然に防ぎやすくなります。
4.「ルール」ではなく「自分の家を守るコツ」として伝える
入居者にとっては、「管理会社からの注意事項」は、ときに“お説教”のように感じられてしまいます。そこで、伝え方も工夫したいところです。
・「守ってください」ではなく
→「こうしていただくと、お部屋が長持ちしてご自身も安心です」
・「禁止事項の羅列」ではなく
→「やりがちなNG例」と「おすすめの代替行動」をセットで紹介
たとえば、入居案内資料の一部を「トイレ・キッチンを長持ちさせる5つのコツ」といった生活に寄り添ったタイトルにするだけでも、読み手の受け止め方は大きく変わります。
5.啓発は “入居時+定期フォロー” が理想
排水トラブルを減らすには、一度伝えれば終わりではなく、継続的な啓発が重要です。
・入居時オリエンテーションで口頭説明+紙のしおり配布
・退去トラブル事例を踏まえた「よくある質問」チラシの配布
・大掃除シーズンや排水管清掃の前に、メール・LINEでワンポイント配信
このように、節目ごとに思い出してもらえる仕組みをつくることで、入居者の行動は少しずつ変わっていきます。トイレとキッチンの正しい使い方を伝えることは、「設備を守るため」だけでなく、入居者にとっても「安心・快適に暮らせる住まいを守ること」につながります。排水トラブルをきっかけに不信感を生まないためにも、予防型のコミュニケーションを積極的に取り入れていきたいものです。


