夏の使用量増加に要注意、給水ポンプ・貯水槽の点検ポイント

夏は、水のトラブルが増える季節です。気温の上昇とともに、シャワーやエアコンの排水、洗濯、炊事などの水使用量が急増します。特にアパート・マンションのような集合住宅では、同じ時間帯に複数の世帯が同時に水を使用することで、給水設備に負担がかかり、ポンプや貯水槽にトラブルが発生するリスクが高まります。ここでは、夏に備えた給水ポンプ・貯水槽の点検ポイントと、オーナー様や管理者が知っておくべき対応策を詳しくご紹介します。

1.水の使用量が増えると、ポンプとタンクに何が起きるのか

 給水ポンプは、建物内の水道水を必要な圧力で各住戸へ届けるための設備です。夏場は、例えば頻繁なシャワー利用、洗濯回数の増加などにより、水の使用ピークが日中から夜間にまで拡大します。これにより、次のような症状が出やすくなります。

●ポンプの稼働回数が増加
●ポンプモーターの過熱
●水圧低下や断水の発生
●異音・振動の増加

 貯水槽についても、長時間の高温にさらされることで、次のような衛生面のリスクも高まります。

●水温の上昇(→水質悪化)
●タンク内に藻や雑菌が繁殖
●においや濁りなどの苦情発生

2. 夏前に実施しておきたい給水設備の点検ポイント

①給水ポンプの点検
●異音・振動の有無:軸受けの摩耗、ベルトの緩みなどの兆候
●ポンプの過熱チェック:異常加熱があれば要メンテナンス
●動作タイミングの確認:頻繁な起動停止は故障の前兆
●制御盤・電源の状態確認:ヒューズ・ブレーカーも要チェック

※異常が見つかれば、専門業者に早めに依頼を。

②貯水槽の点検・清掃
●水面・内壁の汚れの確認:藻・ぬめりは水質悪化のサイン
●マンホールの密閉確認:虫や異物の侵入を防ぐ
●水漏れ・亀裂の有無:外壁・底部の点検
●清掃履歴の確認:年1回以上の清掃が義務(※水道法に基づく)

3. 衛生トラブルを防ぐオーナー様や管理者ができる予防策

①定期点検スケジュールを「夏前」に組み込む
→ゴールデンウィーク明け~梅雨前がベストタイミング。

②夏のトラブル対応用マニュアルを作成
→断水や水質異常が発生した際の連絡体制や、入居者対応の手順を整備。

③入居者への案内文を事前配布
→ 水の使いすぎによる水圧低下や、断水リスクについて注意喚起。

④バックアップポンプの有無を確認
→万が一に備えた冗長構成があるか、設置状況を把握しておく。

4. 入居者満足度を維持するために

 給水ポンプや貯水槽は、建物の生命線ともいえるインフラ設備です。とくに夏は、「急に水が出ない」「水が臭う」「水圧が弱い」といったトラブルが集中する時期。こうした問題は、入居者の満足度や建物の印象を大きく左右します。だからこそ、点検・清掃・事前周知の3つの柱を整えて、安心・安全な住環境づくりを目指しましょう。