古いマンションで起こりがちな給排水トラブルとその予防策

築年数が経過したマンションでは、給排水設備の老朽化により様々なトラブルが発生しやすくなります。ここでは、よくあるトラブルとその原因、そして予防策を解説します。
1.よくある給排水トラブル
①漏水(給水管・排水管の破損)
◆原因:長年の使用で配管が錆びたり、腐食したりして穴が空く。特に鉄製の管(鋼管)は錆びやすい。
◆症状:天井や壁からの水漏れ、床や下階への水漏れが発生します。
②排水管の詰まり
◆原因:食べ物のカス、油、髪の毛、洗剤の残留物などが排水管内に蓄積します。
◆症状:排水が遅い、水が逆流する、悪臭が発生します。
③水圧の低下
◆原因:配管内部の錆や汚れが詰まり、水の流れが悪くなります。特に古い給水管で多くなっています。
◆症状:蛇口やシャワーの水量が少なくなります。
④給水タンクの汚染
◆原因:長期間清掃されていない給水タンクに藻や汚れが蓄積します。
◆症状:水の臭いや味に違和感が生じます。
⑤異臭や異音
◆原因:配管内に空気が入り込む、水が詰まる、または管自体の劣化による振動など。
◆症状:排水口や配管から臭いがする、配管が「ゴボゴボ」「キーン」と音を立てる。
2. 古いマンションでの予防策
①定期点検の実施
専門業者による給排水設備の点検を定期的に行います。点検では、配管の劣化状態、漏水の兆候、詰まりの有無などを確認します。
②排水管の高圧洗浄
数年に一度、共用部分や専有部分の排水管を高圧洗浄することで、詰まりの原因となる汚れを除去。特に築20年以上のマンションでは、1~2年に一度の洗浄が推奨されます。
③配管の更新工事
築20~30年を超えるマンションでは、給排水管の更新工事を検討します。鋼管の場合は、錆びに強い「樹脂管(ポリエチレン管)」や「ステンレス管」への交換が一般的です。
④給水タンクの定期清掃
年に1~2回の給水タンク清掃を行い、水質の安全を確保します。タンク周辺の防虫・防鳥対策も徹底しましょう。
⑤住民への意識啓発
油やゴミを流さない、髪の毛を排水口に溜めないなど、日常的な注意を住民に促します。管理組合から住民へ、排水トラブルの防止方法を周知する活動が効果的です。
⑥モニタリングシステムの導入
最新の漏水センサーや水圧監視システムを導入することで、異常が発生した際に早期発見・対応が可能になります。
3. 給排水トラブルが放置されるとどうなるか?
①資産価値の低下
トラブルが続くと建物全体の評価が下がり、売却時や賃貸時の価値が低くなります。
②居住環境の悪化
水漏れや悪臭、逆流などにより住民の生活満足度が低下します。
③修繕費用の増加
配管内部の劣化が進行すると、部分修繕では対応できず、大規模な工事が必要になってしまうことにもつながります。
4. 修繕計画における注意点
①長期修繕計画に給排水設備更新を組み込む
設備の寿命を見据えて計画を立てることで、予算の確保や住民への説明がスムーズになります。
②業者選びのポイント
信頼できる業者を選び、適切な施工を依頼することが重要です。検討先業者の経歴、業績の推移や施工実績、アフターフォロー体制を確認しましょう。
古いマンションでは、給排水設備の老朽化により様々なトラブルが発生しやすくなりますが、定期的な点検・清掃や設備更新を適切に行うことで、これらのトラブルを予防できます。住民の安心安全な生活を守るためにも、管理組合や居住者全体で問題意識を共有し、早めの対策を取ることが重要です。